IoTの勉強会に出席してみた。思ったより違う世界みたいだった。

未改修

IoT(アイ・オー・ティー。Internet of Things)という用語が2018年になって盛んに言われるようになり、何となく聞いたことのある人も多くなってきたと思います。

新聞などでは「モノのインターネット」と訳して解説していますが、要は「なんでもインターネット」という意味です。
PCやスマホだけではなく、冷蔵庫やテレビ、自動車や公共交通機関など、なんでもインターネットに接続される世界です。
帰宅30分前になるとエアコンが自動的に室温調整してくれたり、
冷蔵庫もスーパーでスマホ見れば買い物リストが表示されるようになり、
自動車は行き先を告げると自動運転で連れていってくれるようになる……
便利になるんでしょうね。

……と、私もこの程度の知識でした。
なんというか、さほど興味を持てなかったのかもしれませんが、なんとなくリニーズとは関係ないかな、みたいな感じがしていました。
エアコンや自動車は、リニーズでは取り扱っていませんからね。。

ところが先日のこと、とある会合で知り合った社長さんにIoTのセミナーに参加してみたら、と声をかけてもらいました。
その社長さんのノリが結構好きだったこともあって、せっかく誘ってもらったんだし、IoTの現状認識の知見を得るにはちょうど良いかも知れないと思い、参加することにしました。
今回の記事は、そこで聴かせてもらったセミナーの内容をピックアップしてまとめたものです。
深く専門的な部分はスルーして、分かりやすいところだけ記事にしたので、もし良かったら読んでいってくださいませ。

 

自動車の話は出てこなかった

新聞やネットの記事、テレビのニュースなんかだと、自動車がインターネットに接続して……云々、というのがお決まりのIoTの解説だったのですが、セミナーの中では自動車の話もエアコンの話も出てきませんでした。

たとえばあるチェーン展開しているホテルの話。

チェーン展開しているホテルの定番といえば、ディナーバイキングです。
厨房では、17時から20時くらいまでの時間、料理を切らさぬように、余らせぬように、一生懸命考えながら調理をしています。
実はこの料理を出すタイミングや分量というのは、厨房シェフの長年の経験で判断していたらしいのです。
当然正確ではないし、予測できない要素が絡むこともあり得そうです。
結局1日に出る食品ロスはかなりの分量となってしまうらしく、経営の立場からは見捨てておけない問題になっていました。

そこでIoTの導入と相成ります。
試行錯誤の末、宿泊客が持つ食器トレー(お盆)にセンサーを取りつけ、その数量を計測して厨房と連携したそうです。
厨房では、今日の宿泊者に対し、現在何人まで食べ終わったかを知ることができ、調理する分量の調整が細かくできるようになったそうなのです。

携わった会社は数社。
1社ではやらないんだそうです。
センサーを開発している会社。
計測をおこなう会社。
ネットで厨房までデータを送るシステムを作る会社。
こうした幾つかの企業が得意分野を持ち寄ってIoTを実現するのが現状のスタンダードな方法だそうで、現状では顧客(上例で言えばホテル)の積極的な協力も必要不可欠なんだそうです。

ほかにも事例が幾つかあって、

・新規雇用の教育に、マイクロソフトのHoloLensが採用。これを装着すると、職場での作業手順などがすべて案内されるので、出社初日から仕事ができるようになるというもの。マイクロソフト、システム開発会社など複数の企業がかかわったそうです。

 

 

・摩擦圧接工法という特殊な圧着工法ですが、これも職人が経験で動かしていたものを、放射温度計で摩擦熱の温度をチェックしたりするIoT技術を採り入れ、品質を底上げすることに成功した事例です。

 

 

IoTというと、自動車が自動運転、エアコンが自動的にオン、テレビでインターネット、、みたいな認識しかなかったのですが、そういう話ではなく、ホテルであるとか、工場であるとか、またはサービス業者であるとか、彼らがこれまで経験値、目分量でやっていたことを理論化する。それで後継者育成、新人教育、または食品ロスのような損失の緩和、そういったことに役立てていくことも、IoTの重要な役割だということに初めて気付かされました。

なるほどなるほど。

……なんとなく、アイデアの欠片みたいなものが沸いてくる気がしました。

 

サイバーセキュリティはもっと重要になりそう

続いて、サイバーセキュリティの話もありました。
IoTの結果、自動車やエアコンなどはもちろんですが、前述のホテルのシステムも、工場の摩擦圧接のシステムも、いろいろなものがインターネットで結びつくようになります。
そうなれば、当然マルウェア被害、ハッキング被害というものが増加し、規模も大きいために被害総額はあり得ないような金額に達するようになります。
これまでの被害でも中小企業ならほとんど即死ルートでしたが、これからはもっと酷いことになってしまうかも。。

特に、1社がIoTのシステム構築に関わるわけではないため、携わるすべての会社が同等のサイバーセキュリティに対する意識を持たなければなりません。
この先、なかなか難しい課題になっていくかも知れませんね。

サイバーセキュリティの防御力を、「法律」「技術」「組織」「目標達成に向かえる能力」「連携」の5つの項目で評価し、世界各国をランキングしたものによると、1位はシンガポール、2位はアメリカ、3位はマレーシア……日本はなんと11位に甘んじているそうです。

このサイバーセキュリティの講演をした方はアドソル日進の方で、IoT向けのLynxSECUREという製品を取り扱っています。

 

 

VMWareなどと同じように、仮想PCを構築してカーネル部分を隔離し、重要なソフトウェアや中核部分の乗っ取りを防ぐようにしてあるようです。
レガシーPC……つまり、Windows XPなどの旧式OSでも守れる仕組みを用意していたり、USBメモリ形態のものも用意してあったり、この分野では全方位的に対応しているようです。

これからIoTが拡がっていくにつれて、こうしたセキュリティ商品は、今後益々需要が高まっていくのだと思いました。

 

約2時間のセミナーだったのですが、当初の予想を上回る濃い内容で、学ぶことの多い時間となりました。
これまでは本当に「自動運転! あと……エアコン!」みたいなイメージ先行の認識でしたが、実際にIoT導入に関わる会社の担当者さんが入れ替わり立ち替わりで説明してくれ、具体的な事例も多く、現場の状況もリアルで聞いていて飽きませんでした。参加して正解だったなぁ。

だからリニーズもIoTを、と即座にその分野に進むわけではないのですが、なんとなく分かってきた部分もあって、ひょっとするとこれで接点があるかも……みたいなイメージが徐々に出てきています。
こういう刺激って、本当に大切ですよね。
皆さんも、ぜひお近くでセミナーがあったら行ってみることをお奨めします。
意外と関係ないことでも、知るのと知らずにいるのとでは、相当大きな差があると思いますよ。

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