無線LANルーターの選びかた まとめ。ひと通りのチェックポイントを解説します!

未改修

前回、ルーターも古くなると、本来のスピードや安定性が低下してきてしまうという記事を書きました。
最近よくネットが断線するなぁ……とか、
前よりアクセスが遅くなっている気がする……とか、
ダウンロードにやたら失敗するようになった……などの気がする場合、ひょっとするとルーターの劣化が原因になっているかも知れません。

 

ルーターに寿命はあるのか? 今見直したいネット環境について。
家や会社に設置されているインターネット環境。何年も前に導入したときに設置して以来、特に何にも触っていない人が大半だと思います。その時にルーターとかONUとか色々な装置を設置した。とりあえず動いているからそのままにしてあるけど、これって壊れた...

 

今回はそこを踏まえて、じゃあ新しいルーターを買い替える場合、どこに注目して選んだら良いのか、お薦めのルーターはどれかについてかんたんに書いてみたいと思います。

 

802.11ac か 802.11ax がお薦め

家庭で使っているルーターの多くは、無線LANルーターではないかと思います。
無線LAN機能が付与されたルーターです。

無線LANには規格があって、802.11のあとに「a/b/g/n/ac」5種類が存在します。
左から右へ進むにつれ高速になっていくので、一番左のaが最も低速で、右のacが最も高速だということです。

802.11ac(以下11ac)は、アンテナ1本につき433Mbps……当ブログは初心者向けなので、語弊を恐れず解説するなら、1秒間で60MB相当のデータ通信を行えるスピード感です。動画など1GBのファイルを送る場合、17秒くらいで送れてしまうということです。

このアンテナが8本、6.9Gbpsが理論上の最高速度だといわれていますが、現在発売されているルーターではアンテナ4本、1733Mbpsが最高速度です。

実はこの上に、11adと11axという規格があるのですが、11adの方はあんまり普及が進まず、11axの方は登場したばかりで対応機器が多くないため、直近での買い替えを検討するなら11ac対応の無線LANルーターがお薦めです。
でも、ちょっとお金を出してもハイスピードを目指したい方は、11ax対応の無線LANルーターが良いと思います。

 

11axはもうちょっと先

11axでは最高速度が9.6Gbpsに達し、都会やマンションなど無線LANが混雑した環境下でも安定的に速度が出る仕様になっていて、恐らく今後の対応機器も増えていくことが予想されるので、ここ1年2年のうちにスマホを買い替える、パソコンも新しくするし、家電製品も……という方は今から買っておいても損はないと思います。
ただ、現在のところ11ax対応の無線LANルーターは価格が高めで、多分もうちょっと待つと値段もこなれてくるし、周辺機能も充実してくるので、できればもうちょっと待ってから新調した方が良いかな……と思ったりします。
当分は何か新しいものを買う予定がないなら、11ac対応無線LANルーターを購入する方が、値段的にも機能的にも良いと思います。
11acは2013年に登場した規格なので、その時期以降に買った機器なら対応している可能性が多いです。

 

 

アンテナの数は子機にも関係する

11ac対応の無線LANルーターを眺めていると「アンテナ数2×2」とか「アンテナ数3×3」みたいな表記があることに気付くと思います。
11acでは、アンテナ1本の送受信スピードが433Mbpsと決められていて、これが2×2なら送信・受信各2本、3×3なら3本、4×4なら4本あることになります。
433×4=1732なので、アンテナ4本で最高速度1733Mbps(概算値)です。

で、とりあえずアンテナ本数の多い無線LANルーターを買いにいく……というのは、ちょっと待った方が良いです。
実は接続するデバイス(パソコンやスマホ、タブレット、テレビやビデオなど)にもアンテナ本数があるのです。デバイス側のアンテナ本数が1本であれば、ルーター側を4本にしても意味がないのです。

実は最近になるまで、ノートパソコンに内蔵されている無線LAN機能では866Mbpsが普通です。つまりアンテナ数は2×2です。
ごく最近……2018年頃になって一部に3×3のものが出てきましたが、まだ珍しいといえます。Macbookとかはちょっと前から3×3でしたね。
デスクトップパソコンの場合、10万を超える高額品であれば3×3が搭載されている……つまり1300Mbpsに対応しています。
スマホはiPhone Xsで866Mbpsです。AndroidスマホのZenfone 5やHuawei P20だと433Mbps。iPhone以外のほとんどのスマホでは、アンテナは1本と考えて良いみたいです。

つまり、4×4の無線LANルーターを買ってきてそれを堪能するには、まず4×4のアンテナを有する外付けの子機を別途で買ってくる必要があるということです。
ただ、1733Mbps対応の子機を見たことがないので、現状だとちょっとマニアックな方法を使わないと難しいかな……と思います。
まあ一般的には2×2で十分、こだわりがあれば3×3を買う。4×4はマニア向けで、普通の人にとってはオーバースペックだということになります。

 

MU-MIMO

さっきからアンテナの本数が云々という話をしていますが、このアンテナというのは、「送信」「受信」の各アンテナのことを指しています。
802.11a/b/gという古い時代の通信規格では、基本、1車線道路のようなもので、通信は細切れに交互に行っていました。
11nになってからは2車線道路のように送信専用、受信専用の道路ができ上がったため、飛躍的に通信速度が増しました。
11acでは4車線まで増設され、更なる高速化が図られました。
こうした技術を「チャネルボンディング」と呼んでいます。

また、11nでは1回送受信するごとに詰め込めるデータ容量が6ビットだったのですが、11acでは8ビットに増量し、1度に送れるデータ量が増えています。
無線LANルーターの仕様で「256QAM」と書かれているのを見かけるかも知れませんが、これは1回分のデータ転送の量が増加したよ、という意味です。

ただし、実はこれも256QAM対応機器である必要があって、なんでも高速通信できるわけではないです。
しかしこちらは対応機器が多く、スマホもちょっと性能が良い機種なら搭載されている可能性があります。

さらにMIMO(マイモ)という技術が登場しました。
これは11nの2車線だったアンテナを分割して4車線に切り替え、
11acの4車線だったアンテナを分割して8車線に切り替えたことで、スピードは倍出るようになったもので、これにより理論値上は11acで6.9Gbpsに達するようになりました。ただし、現行のルーターでアンテナ8×8の機種はないみたいですし、パソコンなどのデバイス側でも対応できないため、今後の「余地」を残してあるというだけです。

MU-MIMOは「マルチユーザーMIMO」という意味で、11nのころは例えば3台のスマホが接続していた場合、ルーターはその3台に向けて順番にデータを送っていました。2〜3台ならまだしも、4台、5台……と増えていくと、次第に通信速度が遅くなっていくという仕様になっていました。
ところが11acから搭載されたMU-MIMOでは、2×2、3×3、4×4……とアンテナ数が増えていくことで、そのアンテナ本数の範囲であれば台数が増えても速度に影響はしないことになっています。
1台にしても速度が増すことはないので、念のため。

こうした周辺技術によって11acは高速化しているわけです。
一般家庭では、スマホとパソコンを同時につないで、家族がまた1台2台……で、4台くらいは同時接続の可能性もあるので、この前に書いた4×4は1733Mbpsで、現在そこまでの性能をはじき出せる子機が存在しないので意味がないと書きましたが、この同時利用という点では有用だとも言えます。

 

結局、ルーターに求める要素はなにか

11axの最新機種を買うのではなく、11ac対応無線LANルーターを選ぶのであれば、

・アンテナの数は2×2または3×3
・MU-MIMO対応
・ビームフォーミング対応
・メッシュWi-Fi対応だとなおよし

このあたりが要件だと思います。
追加で解説しておくと、一般的に無線LANルーターは機器を中心に同心円状に無線電波を発信するのですが、例えばそのネットワーク内でスマホを接続すると、そのスマホめがけて電波を送る「ビームフォーミング」と呼ばれる技術があります。このビームフォーミングにより、ルーターから遠くてもある程度の通信品質を維持できるようになります。

メッシュWi-Fiというのは、自宅が鉄筋コンクリートだったり、古い家で部屋を幾つか隔てている場合、そこまで無線が届きません。
そんなとき、子機を用意して要所要所に設置する……自宅内に網の目のようにネットワークを張り巡らす仕組みをメッシュWi-Fiと呼んでいて、これに対応していると良い場合があります。マンション住まいなどの人は要らないかも知れません。

 

インターネット回線にも注目

と、ここまでは「無線LANルーターと各デバイス」の間の通信速度の話で、これがそのままインターネットの速度であるというわけではありません。
当記事冒頭に掲示したリンク先「ルーターに寿命はあるのか? 今見直したいネット環境について。」でも触れたのですが、インターネット回線は無線で送受信した、その先にあるのです。

一般的に、2019年6月現在の光インターネットの速度は、たいてい1Gbpsではないかと思います。
例えば光インターネットを自宅に引き込んだ時点で、その1Gbpsは半分以下になるものと思ってください。
仮に半分の500Mbpsだったとして、これがモデムを経由してルーターにたどり着く頃には、実はもっと損耗している場合が多く、300Mbpsとか400Mbpsになっていたとしても不思議はありません。

無線環境で1300Mbpsが出ていても、インターネットが追いついていない……そんなことも往々にして起こり得るので、2Gbpsプランや5Gbps、10Gbpsなんていうプランもあるので、例えば5Gbpsにアップグレードすると、自宅に引き込んだ時点で半減したとしても2.5Gbps……これなら十分速いと思います。

もうひとつ確認すべきは、WANポートの通信速度です。
無線LANルーターとモデムの間を接続するLANケーブルを挿すための差し込み口にも通信速度があります。
一般的なルーターだと、実はここが1Gbpsの可能性があります。
確認する限り、ほぼ皆無に等しいのですが、NETGEARやNECの50,000円くらいする高級ルーターであれば一部5Gbpsや10Gbpsに対応しているものもあります。

逆に言えば、それ以外のものは1Gbpsなので、無線LANで1733Mbpsに達しても、1回に通過するのは1000Mbpsが上限であることを頭の隅に置いておくと良いと思います。だからこそ前述の通り、結局アンテナ数は2×2か3×3で十分だということにもなります。

あと最後にLANケーブル。
LANケーブルにも通信規格があるため、1Gbps以上の通信に使える規格の「5e」というケーブルか、できれば「6」あたりを買っておけば良いと思います。
機器類が完璧に揃っても、ケーブルが古いままだと高速通信に対応していない場合もあります。
お店で買うとき、パッケージ表面に規格が掲示されているはずなので、「5e」「6」であることを確認して買うようにしましょう。

 

というわけで、ルーターを選ぶ基準について書いてみました。
個人的には値段お手ごろで機能も揃っていて、なかなか安定しているのでお勧めだな、と思ったのはAsusのRT-AC67Uです。
MU-MIMO対応の3×3、1300Mbpsの通信速度です。
ビームフォーミング、メッシュWi-Fiにも対応しています。
マニア向けですがデュアルWANといって、インターネット回線を2個同時接続できる仕様になっています。
例えばひとつのネット回線が断線したときのバックアップ機能として用いたり、負荷を分散させるために接続させるという方法で、普通の人にはあんまり関係なさそうな機能ですが、ビジネスユースなら使い道がある場合もあると思います。

 

RT-AC67U|Wi-Fiルーター|ASUS 日本

 

これ以上のスペックを狙える人は、いっそのこと11axにしちゃった方が幸せになれるかも。。
ちなみに、個人的な経験則というか、印象なので、人によって違うことは覚悟の上ですが、NECやヤマハのルーターは外れを引くことが少なく、なかなか良いなぁと思っています。

11axの普及と、11acの機能拡張は今後あると思うので、この情報がいつまでも有用であるとは言えませんが、とりあえず参考までに読んでいただいて、あなたなりのルーター選びが上手くいくことをお祈りしています。

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