セキュリティソフトの頂点にいる人々が語る事件の真相がなかなか面白い「決定版 サイバーセキュリティ」

未改修

 

Blue Planet-worksという日本企業があります。
世界でもこれより優秀なセキュリティソフトは恐らく皆無であろうと言われている「AppGuard」を世に送り出しているメーカーです。
AppGuardが如何にすごいソフトかについては以前の記事に譲りたいと思いますが、世界の最先端を突っ走っているサイバーセキュリティの専門家集団が書き上げた一冊ということで、僕も取扱店云々を抜きにして1冊購入して読んでみました。

昨年、隅田川の花火大会ばりに打ち上げまくった北朝鮮の弾道ミサイル。
打ち上げが失敗したのか、それともワザとすぐに海中に落下させたのか……日本のニュースでも専門家がいろいろ議論していましたが、実はこれ、アメリカ軍のサイバー部隊による妨害行為があったようなのです。落下するミサイルは決まって同じ型式だったことから、恐らくその型式の制御システムを掌握しているのだろうと本書は分析しています。

また同じような時期に、アメリカ軍のイージス艦が民間船舶と衝突する事故が立て続けに発生したのを覚えている人もいるかと思いますが、これも中国辺りのサイバー部隊が民間船の制御を奪って、イージス艦にぶつけてきたのではないか、と見ている専門家の声を紹介しています。確かに一時期に集中しすぎていますし、発生した場所もアジア地域……航行の自由作戦とかありますもんね。

本書では、ほかにもイランの原子炉暴走事件、平昌オリンピックのロシアの報復、日本年金機構、ベネッセ事件などの記憶に新しい数々の事件の裏側で、実はサイバーテロが起こっていたことを詳細に解き明かしています。専門家の説明だけに、当時の詳しい経緯を回想しながら、その具体的な手口や仕組みを解き明かしていくところは実に説得力がありました。
サイバーテロは主に証拠が残らないもので、政府も関与を否定するため、本書に説得力がなければつまらない本になっていたと思うのですが、彼らの持つ膨大なノウハウと経験知が本書にこれまでにない強い説得力を与えているところ、さすがだと思いました。

ちなみに一般家庭も油断できないそうで、「クレジットカードの内訳、ひとつひとつ説明できる?」と聞かれると、確かにざっくりとしか見ていないかもな……と思ったり。
日々の生活の中で、たしかにこれ抜かれてるわ……と思わざるを得ない事案をいくつも例にとって、「それでも大丈夫?」と問われると、本気で頷ける人はまずいないだろうなぁ。
Facebook、Google、Amazon、Apple……これらと関わり合いになれば、その企業の支配下に置かれ、結果的にその行動すべてを丸裸にされているというのは、数年前に松井博氏が書いた「企業が『帝国化』する」を読んだときに感じたことにもオーバーラップしてきて、なんとも逃れられない、底の知れない恐怖を感じました。

この本、すごく読みやすいです。
内容が薄いわけではないのですが、朝ちょっと読書するくらいでも、2〜3日で読み切れちゃうあっさりした読み口です。
専門用語をできるだけ使わずに書かれているので、ご家庭でネットサーフィンが趣味の奥さんでも気軽に読めちゃいます。
しかも、たぶん相当程度には知識のある私でも知らないような、感染の仕組みや犯行の手口などの深いところも、本当に平易な言葉でサックリと説明してくれています。
サイバーセキュリティ界の池上彰、といった感じです。

あと、僕も読むまで「最終章はAppGuardの宣伝だろうな」と思っていたら、結局最後の最後までAppGuardについては一言も言及がありませんでした。
あくまで一般向けに、とことんまで分かり易く、世界のセキュリティ事情について説明するところに徹した1冊となっています。

ごく普通の一般個人の持っているクレジットカード情報、1件いくらだと思いますか?
気になったら、ぜひ読んでみてください。
自分が標的にならないのは偶然だとすぐに気づくと思いますよ。

 

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